一般質問・答弁書 令和5年6月定例会
質問事項
埼玉県5か年計画について
(3) 生活保護世帯の中学3年生の学習支援事業利用率について
質問要旨
●令和4年度の利用率は、市部実績が過去最低だが、県直営の町村部は過去2番目に良い。市部実績の向上なしには目標達成はありえないが、なぜ市部実績が向上しないと考えるか。
●県と市町村の担当者同士の連携を深め、県が実績をどう作り上げてきたかを情報共有することや、家庭環境や学習状況を把握する学校、教育局、市町村教育委員会などとの連携も深化させた上で、対象となる子供や保護者にアプローチしなければならないと考えるがどうか。
【答弁者】 福祉部長
答弁要旨
中屋敷慎一議員の御質問4「埼玉県5か年計画について」の(3)「生活保護世帯の中学3年生の学習支援事業利用率について」お答えを申し上げます。
まず、なぜ市部の実績が向上しないと考えるかについてでございます。
県では、貧困の連鎖を断ち切るため、全国に先駆けて、生活保護世帯の子供たちを対象に学習支援事業に取り組んでまいりました。
生活に困窮する世帯では、障害や病気のケアなどの複合的な問題を抱えて将来への見通しが立たず、子供の教育にまで目が行き届かない保護者や学習意欲を失っている子供もいることから、事業になかなか参加していただけない状況もございます。
そこで、県では学習支援員が生活保護世帯の自宅を訪問し、保護者や子供に学ぶことの大切さを理解してもらい、自らの意思で学習教室に参加できるように丁寧に支援をしております。
こうしたノウハウを、市に対しましては、これまでも説明会や監査などあらゆる機会を通じて提供してまいりましたが、人事異動やコロナ禍などによって、しっかりと継承されていない市も見受けられます。
こうした点が、市部の利用率が上がらない要因ではないかと考えております。
次に、「県と市町村の連携を深め、学校、教育委員会などとの連携も深化させた上で、子供や保護者にアプローチを」についてでございます。
学習教室の利用率を向上させるためには、子供たちが教室に来ることを待つのではなく、支援する側から参加を働きかける必要がございます。
また、教室の参加者の中には、学習習慣のない子供たちや学習の到達度が著しく低い子供たちも少なからずおり、一人ひとりの状況に応じた支援が求められます。
さらに、子供たちが学習に専念できるよう、時には家庭が抱える生活上の課題にも目を向け解決への道筋をつける必要もあります。
このような県が蓄積してきたノウハウを新たなマニュアルとして提供するほか、市の担当者などを対象に事例検討なども盛り込んだ実践的な研修を実施してまいります。
また、議員お話しのとおり、子供たちに対しては、教育機関や市町村の子育て支援担当課などと学習の状況や家庭の状況を共有し、連携して支援していく必要があります。
県といたしましては、生活保護担当課に加えて、教育委員会や子育て支援担当課など関係機関への理解も深めることで、密接に連携して保護者や子供にアプローチできるよう、市に対して働きかけてまいります。