令和5年6月定例会一般質問答弁書

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こちらより

2023/06/24 埼玉新聞記事

一般質問・内容

1.知事マニフェスト「これからの4年にむけて

1 知事マニフェスト「これからの4年にむけて」について、知事に伺います。

「(1)あと数マイル・プロジェクトについて」です。
大野知事が、4年前の知事選の立候補時に掲げた当プロジェクトは、公共交通及び道路網の更なる利便性向上を目的に始められたものです。
議会においても、この4年間で、特に鉄道の延伸について様々な議論がなされました。
また、令和4年度からの県の最上位計画として進められている、埼玉県5か年計画の中にも、埼玉高速鉄道、東京12号線、東京8号線、日暮里・舎人ライナー、多摩都市モノレールの5路線の県内延伸が明確に位置付けられました。
さて、5路線の中で大きく歩を進められているのは、埼玉高速鉄道の延伸であろうかと思います。これは、さいたま市との連携体制や、さいたま市選出の県議会議員をはじめとする、各級議員の尽力によるところも大きいと思います。
こうしたビッグプロジェクトは、それにまつわる多くの人々の理解・協力が極めて重要なのだと改めて認識したところです。
だからこそ、車の両輪に例えられる、本県の執行権者である知事と、県民の代表である我々県議会議員は、議論を深めそれぞれの考えや認識を確認しあう必要があると考えます。
そこで知事にお尋ねします。マニフェストには、「自動運転バスやBRTなどの新交通システムの導入も視野に、『あと数マイル・プロジェクト』の早期実現、既存の交通機関との連携強化を検討する会議体を設置する」とありますが、先ず1点目、自動運転バスやBRTなどの新交通システムの導入も視野に入れた「あと数マイル・プロジェクト」の早期実現とはどういうことなのでしょうか?また、ここで言う新交通システムの導入と、5か年計画に記された5路線延伸とは連関する部分があるのでしょうか?
そして2点目、新たに設置する会議体で検討される、「既存の交通機関との連携強化」とはどういうことなのでしょうか?また、その会議体をどのようなメンバーで構成しようと考えているのでしょうか?ご所見をお示しください。

次に、「(2)県庁舎の建て替えについて」、伺います。
この問題については、本年2月定例会の一般質問で、わが会派の新井豪議員が、そして、予算特別委員会総括質疑で、当時の須賀たかし政務調査会長が、知事との議論を交わしているほか、多くの所属議員も課題として取り上げてきたところです。
議員サイドからは、県庁舎再整備についてのタイムスケジュールや設置場所などについて、知事の見解を求め続けてきましたが、「再整備後数十年使用することを踏まえ、DXをさらに前に進め、将来必要となる県庁舎の規模や機能などを見出したい。そして、そうした状況から県庁舎再整備検討委員会における専門家の議論には期限を設けない」などの答弁が繰り返されてきました。
私も、これまで4回開催された検討委員会の概要を拝見し、DXの推進をはじめとした現下の社会情勢の中で、様々な議論が交わされているのは承知しています。しかし、こうした社会情勢は、今話題の生成AIの登場などにより、予想をはるかに超えたスピードで変化していくものと思います。議論に期限を設けなければ、次々に新たな課題が出現するのではないでしょうか?
さて、今回示されたマニフェストは、議会や検討委員会での議論も踏まえ、4年先の本県の姿をイメージして立案されたものと思います。報道によれば、「次の4年間で絵が描けるところまで持っていきたい」との意向を示されたとも聞いています。
4年先を見据えたマニフェストに示された「DXを前提とし、政策上の必要性を第一にとらえた、組織のあり方や設置場所の検討」とはどういうことなのかご説明ください。

次に、「(3)順天堂大学附属病院の整備について」伺います。
本県では、医師数を増やすため様々な取組を進めていますが、統計によると、人口10万人当たりの医師数は、いまだ全国最下位です。そして、県政世論調査では、「医療サービス体制の整備」に対する県民要望が、上位3位以内から外れたことはありません。この県民の声に応えるためには、大学病院の誘致こそが何よりも必要であるとの考えから、わが党は、県議団を先頭に様々な障壁を乗り越え、浦和美園への順天堂大学附属病院の誘致を進めてきました。幾たびかの計画変更はあったものの、2027年11月開院を目指して動いている今、目的の一つであった医師派遣も同大学から実施されるに至ったと聞き及んでいます。
さて、知事のマニフェストの中で、病院誘致に係る部分は、「新規病院誘致」と記されているのみですが、この新規病院とはいったい何を指し示すのでしょうか?
また、私は、本県の医師不足解消に向けた動きの中で、順天堂大学附属病院の整備は成し遂げなければならない最重要課題だと思いますが、知事は何故それをダイレクトに、マニフェストに記されなかったのでしょうか?
そして、本年2月の定例会において、当時のわが団の小島団長の質問に対し、知事は「県がしっかりと進捗を把握し、工程通りの進捗に向け関係者と必要な調整を行う」とお答えですが、基本設計期間の三分の二を迎える今、設計や関係者との調整は遅滞なく進んでいるのでしょうか? 知事のご所見をお聞かせください。

2.議員提案政策条例について

次に「質問2 議員提案政策条例について」伺います。
本県議会はこれまで、積極的に議員提案政策条例を成立させてきました。県行政のチェック機能を果たすと同様に、県民の代表たる議員による政策立案も極めて重要との考えによるものです。
平成14年12月定例会の「埼玉県中小企業振興条例」から始まり、本年2月定例会における「埼玉県福祉のまちづくり条例の一部を改正する条例」まで、41件の条例を制定・改正してきました。これは、宮城県の30件、三重県の29件を大きく引き離して全国1位です。
そうした条例の中でも、全国的に誇れる条例があります。「ケアラー支援条例」は、全国初のケアラーに着目した条例です。今では当たり前になったケアラーという言葉を初めて定義し、全国に知らしめました。また、18歳未満の子供たちが、日常的に家事や家族の世話をする「ヤングケアラー」の問題を社会に投げかけるきっかけともなりました。本県議会が全国に先駆けて支援を打ち出し、全国へその輪が広がった画期的な条例です。本県でも、入間市、さいたま市及び戸田市が条例を制定し、地方自治研究機構の調査では、これまで6道県12市町の自治体が条例を制定しています。
そして、私もその制定に大きくかかわった「エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」は、エスカレーターでは歩かず立ち止まることを規定した全国初の条例です。障害によりエスカレーターでは右側にしか立てないという声や、歩行する人とぶつかって怖い思いをしたといった声から生まれた条例です。
制定後も周知徹底を図ることが大切だと考え、昨年3月8日のエスカレーターの日に合わせて、知事とともに、多くの県議会議員と浦和駅に立ち、周知を呼びかけるキャンペーンを行いました。
その後、議長在任時にも、FMナックファイブのゴゴモンズに出演し、エスカレーター条例の周知に努めてまいりました。
筑波大学の徳田克己教授の調査によりますと、大宮駅でエスカレーターを歩いている人の割合は、条例施行前の60%から、施行後3か月で38%に減少しました。しかし、1年後の調査では残念ながら61%に戻ってしまい、長年の慣習に挑むことの難しさを実感させられました。
また、現在、名古屋市で同様の条例が制定されましたが、首都圏の都県で制定される動きはいまだありません。
こうした状況の中、昨年、JR秋葉原駅で、エスカレーターでの歩行をめぐって、男性二人が関係する暴行事件が起きました。9都県市等では、エスカレーターの安全利用に関するキャンペーンを実施してきましたが、東京都でも同様の条例が制定されていれば防げた事件かもしれません。
このように、本県議会で先進的な議員提案政策条例を制定しても、周辺の都県に広がりをもてなければ、効果としては不十分なものがあります。
条例による実際の取組の中心的役割を果たすのは県執行部です。そこで、知事に伺います。本県議会制定の議員提案政策条例による取組の中で、首都圏をはじめ横展開が必要と思われる取組については、9都県市首脳会議などの場面で、知事により積極的にアピールしていただき、拡がりの核となっていただきたいと思いますがいかがでしょう?
そして、これまで本県において、議員提案政策条例を根拠とする取組が、その狙いを達成するために、どのように推進されてきたのか、議員提案政策条例に対する知事の基本的な捉え方とともに、知事就任後に制定・改正された議員提案政策条例における代表的な取組事例とその成果を示してお答えください。

3.チャットGPTなど生成AIの行政活用について

次に、「質問3 チャットGPTなど生成AIの行政活用について」伺います。
チャットGPTに代表される生成AIは、これまで人間が行っていた、何かを作り出す仕事をも代替しうる、大きな可能性を持つと言われています。
全国の自治体に先駆けて試験導入した横須賀市では、41日間で約26,000件の活用があり、使用した職員の8割以上が「仕事の効率が上がる」と回答し、継続利用したい旨の意を示したとのことです。そして、東京都では小池百合子知事が、この8月から全部局で活用する旨、都議会本会議で明らかにしています。
一方で、欧米における規制強化の動きが示すように、誤情報の拡散や情報流出など、そのリスクも数多く指摘されています。
現在、本県はDXの推進による業務効率化を積極的に進めています。また、県民一人当たりの職員数が全国一少ない状況の中で、新たな行政課題に対応するためにも、生成AIを導入するメリットは大きいものと考えます。知事も先月末の記者会見で、公開されている会議の議事録の要約など、リスクの小さい業務から導入することを前提に検討するとの前向きな発言をされています。
生成AIの活用により、職員の仕事の効率が上がることで、限られたリソースを新たな課題解決に振り向けることが出来るでしょうし、教育や福祉分野など「人」でなければできない業務への人的集中のチャンスができ、県民の利益向上へも繋がるのではないでしょうか?
しかしその一方で、個人情報を扱い、防災や医療、危機管理等、情報発信に高度な信頼性が求められる県として、情報流失や誤情報の拡散などは、あってはならない事態です。
また、教育の現場での利活用についても、県内小中学校で一人一台端末が整備され、高校でも同様の取組が進む中で、「児童・生徒が自ら考える力、つまり生きる力を育成」していくためには、その扱い方が極めて重要な課題となります。
これらを踏まえて、今後、どの分野で活用することを想定し、どこから着手し、どのように拡大していくのでしょうか?また、利活用する職員や教員、児童生徒のリテラシー向上を含め、リスクをどう想定し、どのように対処していくのでしょうか?
知事部局については知事に、教育局については、日吉教育長にお尋ねします。

4.埼玉県5か年計画について

次に、「質問4 埼玉県5か年計画について」伺います。
「日本一暮らしやすい埼玉へ」を掲げて埼玉県5か年計画がスタートし、1年が経過しました。
埼玉県の目指す将来像として、「1 安心・安全の追究・レジリエンス」「2 誰もが輝く社会・エンパワーメント」「3 持続可能な成長・サステナビリティ」を掲げ、各部局が施策指標の達成に向けて取組を進めており、本県の骨格となる大切な計画であると認識しています。
さて、この5か年計画ですが、令和3年9月定例会で県議会に議案として提案されました。議案審議のため、5か年計画特別委員会が設置され、私も委員の一人として、また、自民党県議団政務調査会長として、執行部の皆さんと切磋琢磨しながら、様々な議論をさせていただきました。
その審査の過程において一部施策として不足しているものや、新たな取組、施策指標をより明確にしたほうが良いものが見受けられたため、37か所の修正を行いました。この修正は、提案した自民党だけでなく全会派の賛成をもって可決された、県議会総意の修正であります。

まず(1)一年を終えての評価について、知事に伺います。2期目に向かって勇躍そのお考えを示された今、丸1年を経過した5か年計画の進捗について、どう評価されているのでしょう?
次に、議会から修正を加えた施策指標の進捗状況を確認させていただいたところ、果たしてこのままで大丈夫だろうかと思われる点がいくつかありましたので、順次確認させて頂きます。

先ず、(2)「小・中学校に在籍する不登校児童生徒が学校内外の機関等で相談・指導を受けた割合」について伺います。この指標は、「不登校は問題行動ではない」とした教育機会確保法の趣旨を踏まえ、不登校児童生徒の多様で適切な教育機会を確保していくためには、教育支援センターにおける支援の充実や民間団体・民間施設等との連携を進め、不登校児童生徒の相談や指導につなげることが重要であるとの理由で修正されたものです。
令和2年度の現状値67.4%を令和8年度には85%まで引き上げるとしていますが、コロナ禍であったとはいえ、令和3年度は62.7%にまで下がってしまいました。県内公立小中学校の不登校児童生徒数が1万人を超える中で、約4割の児童生徒が専門的な相談・指導を受けていない状況は、極めて憂慮すべき事態です。
そこで教育長に伺います。まず、この状況をどう受け止めていらっしゃるのでしょうか?
そして、不登校の当事者は児童生徒であり、その保護者であるため、現場の教員が不登校の予兆を察知した時点からの、当事者と学校等との相談体制について、対応マニュアルの作成なども含め、更なる強化が必要と考えますがいかがでしょう?
また、一昨年の文教委員会でも指摘させていただきましたが、不登校特例校の設置をなお一層急ぐ必要があると考えますがいかがでしょう?教育長のお考えをお示しください。

次に、(3)「生活保護世帯の中学3年生の学習支援事業利用率」について伺います。この指標は、生活保護世帯の子供たちが、高校に進学して卒業し、安定した仕事に就くことにより、いわゆる貧困の連鎖から抜け出し社会生活を送れるようになることが重要との考えから、加えられました。
令和2年度の県全体の利用率43.7%を、令和8年度には、中学校3年生の通塾率約60%と同じレベルまで引き上げようというものですが、令和3年度37.8%、令和4年度36.3%と右肩下がりの状況です。この支援事業もコロナ禍の影響をダイレクトに受けたものと思いますが、結果として目標値60%は遠くなってしまいました。
令和4年度の実績を拝見すると、市部実績が34.2%と過去最低の数値ですが、県が直営で担う町村部では62.2%と過去2番目に良い数値を示しています。こうした状況から、市部実績の向上なしには目標達成はあり得ないと考えます。福祉部長はなぜ市部実績が向上しないとお考えでしょうか?
また、この事業は、生活保護世帯を対象とするセンシィティブな部分もありますが、だからこそ丁寧に、県と市町村の担当者同士の連携を深め、県が町村部実績をどう作り上げてきたかの情報共有を行うことや、子供たちの家庭環境、学習状況を把握している学校や教育局、市町村教育委員会などとの連携も深化させた上で、対象となる子供たちへのアプローチを行わなければならないと考えますが、福祉部長のお考えをお聞かせください。

最後に、(4)「自主防災組織で防災知識の啓発活動を実施した割合」について伺います。この指標は、自主防災組織の構成員に、災害への備えや災害時の行動などの防災知識の啓発活動を実施し、大規模災害の被害軽減に活かそうとするものです。
令和元年度の実施率60.8%を、90%まで引き上げることになっていますが、コロナ禍の令和2年度は36.3%、令和3年度は34.0%まで下落しています。自主防災組織は、組織されることが目的ではなく、組織し、防災知識を身に着け、訓練を繰り返すことにより、地域防災の核として、「共助」の要になりうるはずです。
県は、昨年度まで、自主防災組織の資機材整備に係る補助など、組織率向上への取組を進めてきましたが、今年度は、自主防災組織の活動活性化を目的とした、市町村への補助体系に変更しているとのことです。
まず、活動の活性化を促すということならば、各市町村の状況を詳細に理解する必要があると考えます。市町村からの報告を取りまとめるにとどまらず、もっと積極的に情報を取りに行き集積する必要があると考えますがいかがでしょう?
また、ここまで落ち込んだ割合を、どのようにして90%まで引き上げていくのか?危機管理防災部長のご所見を伺います。

5.生物多様性の保全・回復について

次に、「質問5 生物多様性の保全・回復について」伺います。
本県では、大野知事の就任後、埼玉版SDGsの推進を掲げ、「埼玉県SDGs官民連携プラットフォーム」や「埼玉県SDGsパートナー登録制度」、埼玉版 SDGs推進アプリ「S 3(エスキューブ)」などを創設し、企業や団体、県民の参加を促してきました。また、内閣府が進めるSDGs未来都市に,本県は令和3年に、そしてわが街鴻巣市を含む県内6市が、令和5年までに選定されています。そして、本県及び鴻巣市では、このSDGs未来都市の計画において、生物多様性の保全が明確に位置付けられています。
現在、人の営みによる影響を主因として、地球上の種の絶滅のスピードは自然状態の約100倍から1,000倍にも達し、本県に存在する17,943種の動植物のうち、1,873種に絶滅の恐れがあるといわれています。生物多様性を保全・回復するためには、これまでの取組の更なる深化を図らねばなりません。
こうした中、令和5年3月には約10年半ぶりに生物多様性国家戦略が改定されました。新たな国家戦略では、2030年までに、生物多様性の損失を止め回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」の実現を目指すことが明記され、25の行動目標と367もの施策が掲げられています。
知事も公約の中で、ネイチャーポジティブの推進を掲げており、本県としても、現在の生物多様性戦略を早急に改定し、その決意と具体策を示す必要があると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。

また、5か年計画には、「生物多様性の認知度」を令和8年度に75%まで引き上げるという施策指標が示されていますが、令和4年度の認知度は令和2年度の67.7%から0.5ポイント下がった67.2%となっています。先に述べた埼玉県SDGs未来都市計画には「生物多様性保全の全県展開をすすめる」と明記され、昨年度には、情報発信、活動の核として生物多様性センターも設置されました。
取組は進めているが、認知度の大きな向上は図れていない状況を環境部長はどう受け取られているのでしょうか?
私は、認知度向上に向けて、現在所沢市が取り組み始めたように、県としての新たな評価指標をつくり、埼玉県SDGsパートナーに登録いただいている団体や企業などの環境保全活動の効果を、具体的に数値で見える化し認証していくことで団体や企業の努力を伝える取組や、この5月末に何とか8,931ダウンロードに達した、エスキューブの「ポイントを貯める」のページ中に、生物多様性に係る項目を加え、ダイレクトに県民への理解、認知を高める取組を進める必要があると考えますが、環境部長の考えをお聞かせください。

6.本県農業を支える試験研究の推進について

次に、「質問6 本県農業を支える試験研究の推進について」伺います。
本県の農業は、この10年で従事者が3割以上減少するとともに、その平均年齢は68歳を超え、担い手不足や高齢化がより顕著な状況を迎えています。その上、頻発する自然災害やウクライナ情勢などの影響による、農薬や肥料などの資材価格の高騰など、農業を取り巻く周辺環境は厳しさを増し続け、「頑張る農家」を苦しめています。
埼玉農業を元気づけ、他県との産地間競争に勝っていくためには、高品質な品種の開発や、低コスト化につながる新たな農業技術の開発などの「試験研究」が極めて重要であり、その果実として得られる新しい品種を、ヒット作につなげる道を創っていかねばなりません。
その観点で本県の持ちうる事例としては、農業技術研究センターが開発したイチゴ「あまりん」があります。今年2月には、日本野菜ソムリエ協会主催の「第1回全国いちご選手権」に出品された「あまりん」が最高金賞を受賞し、日本でもっとも美味しいイチゴと認められるという快挙を成し遂げました。都内や県内で、ワンランク上のいちごとして販売されている様子を私も誇らしく拝見しました。
また、米の「彩のきずな」は、平成29年産と令和2年から4年産が、日本穀物検定協会の「食味ランキング」において最高評価の特Aに選ばれるという結果を得ています。当時わが会派が別所沼会館で行った、「彩のかがやき、彩のきずな、コシヒカリを食す会」でも、彩のきずなは高い評価を得ています。
これらの優れた農産物は、売上の向上に寄与するだけでなく、生産者のモチベーションの向上にも大きく貢献するでしょう。また、さらなる高品質化や、環境変化に強い品種の育成などは、県内農業の活性化を強く推し進めるものであります。
「試験研究」の成果をより多く築き上げていくためには、埼玉県農林水産業試験研究推進方針に示されているように、試験研究のシーズ・ニーズの的確な把握を行ったうえで、農産物を「商品」として捉え、どのように市場に展開していくかを、県というサイズで作り上げていく必要があります。そしてそれこそが、「よい農産物は作れるが販路確保は得意じゃない」という生産者の伴走支援につながるものと考えます。
先に述べたように、担い手不足や農業従事者の高齢化など、本県農業の背景課題をクリアしつつ、「試験研究」の果実をどのように本県農業の経営発展に結び付けていくのか、農林部長の決意をお示しください。 

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